戯言日記 その3

戯言

 人の力を借りるのには対価を払わなければならない、このルールは何事においても適用される。

「あの子と付き合いたいんです!誰か手伝って!」

 いつもの集まりの中、大声で宣言したものが一人。
 何を言い出したのやら理解するのに数秒、それぞれの行動に動くのに一瞬、つまり。

「誰か反応して!?」

 誰もが無反応だった。

「寝言は寝て言え」
「無駄なことをするほど暇じゃない」

 歯牙にもかけない仲間を見て膝をつく者に近づくものが一人。

「俺が力を貸してやろう」

 差し出された手を涙を流して掴む様子を眺める者たち。一同に思ったことは同じだった。

(((あーあ、遊ばれたな)))

 そんな周りの予想も他所にお目当ての相手と順調に距離を詰めていく様子を見て、焦り出す周り。

 そしてついに、

「とうとう! あの子と付き合えました! いや~、ほんとあの子…………」

 と仲間たちに笑顔で報告。よほどうれしかったのかずっと話が止まらず、周りの豹変した様子に気が付かなかった。

「でさぁ」

「おい」

「はい? …………あのーなんでそんなに顔が怖いんでしょうか? なんでそんなにゆっくりとみんな距離を詰めてきてるんでしょうか?」

「「「彼女できないやつから彼女できたやつへのお祝いだよぉ!」」」

「なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 その後は約束していたデートに小鹿のような足で向かった彼の姿を見て笑うものが一人。

「妬む姿も、その被害にあう姿もとても良いな」

 無償なんてものは無い、知らず知らずに人は対価を払ってる。

 一人微笑む者は対価を得て、行動したのだ。
──────────────────────────────────────────────

 蛇足:鋼の錬金術師おもしろいよね

 蛇足の蛇足:彼女持ちは周りから祝われる、男子学生ならこんなもん。

コメント

タイトルとURLをコピーしました