その昔、空を覆う龍がいたらしい。
今じゃ世界は星も見えないほど黒く覆われているというのに、おじいさんたちはそんな昔話をよくしている。
それも自分たちの種族が弱いから見逃されているだけで、少し目立つほど大きな身体を持つ者達ならどこからか現れた暗影の尖兵に狙われる。
それは見せしめでもあるし、敵対の可能性を潰す目的もある。
逆に言えば自分たちはそんな対象にもならないほど弱いということだ。
情けないのかと聞けば、
「ワシらの力は弱い、しかし無力ではない。そのことを教えてくれたのは紛れもない竜の一族なのじゃよ。むろん、暗影のようなモノたちもおる。だからと言って全ての竜がああでもないし、歯牙にもかけられないワシらが何もしないわけにもいかない」
弱いことにはかわらんがのぅ、と自信満々に笑う。
根拠のない自信や弱いと言い切るプライドのない姿に腹が立つ。
同時に、生まれた時から暗闇に覆われた世界しか見たことの無い自分の知らない世界を知っていることを羨ましくも思う。
拗ねて頬を膨らませる自分を見て笑いながらいつもの戯言を唱える。
「『世界を覆う暗闇を照らし、自由を告げる青空が世界に広がる』せめてお主がいる間にあればええんじゃがのう」
どうせ老人の戯言だといつも聞き流していた。
だけどその光景を目に見た時、自然と口ずさんでいた。
本当にあのヒトと呼ばれる生き物と、呪われし紺碧の竜がこの世界に降り立って世界に青空が広がった。
覆うのではなく、どこまで広がる自由な空が世界に広がっていった光景を見て、自然と涙がこぼれた。
────────────────────────────────────────────
蛇足:書いた小説の設定みたいなものです。
蛇足の蛇足:そんなものでいいのかって? そんなものが戯言日記なんだよ!(気になった方は「クロスブルー」って調べてください。どっかの投稿サイトで作者名がアオノクロならその話です。一話しかないけどね!)
コメント