その時気が付いたんだ。
「俺たちは人じゃない! みんなみんなサルなんだ! なんでそれが分からない!」
自分は気が付いたことをみんなに叫んで教えてまわる。
サラリーマン、主婦、学生、群れをかき分け、叫び続ける。
「なにあれ」
「いかれたやつがいるな…………」
「ウケる、撮っとこ」
各々が好き勝手なことを言うも、異端の物を見る目を向けているのが分かる。
だとしても、
「みんな聞いてくれ! 俺は異常なんかでも病気でもない! 正常だ!」
声の限り叫びながら走り続ける。
「この世界は人間によって管理されている! 俺たちはそんな人間の実験動物であるサルでしかない! みんな目を覚ますんだ!」
だというのに誰も自分の言葉を信じない。
息も切れて、整えようと一休みしていた時、肩を叩かれた。
「あのーちょっといいですか」
もしかしたら話を聞いてくれるの誰かが? そう期待して顔を上げると
「変な人物が通報を受けて来たんですが、あなたがその人物ですか?」
騒ぎながらも腕を掴まれて行く服を着たサルを見ながら、まわりのサルたちは呆れたように言った。
「そんなこととっくに知ってるんだよ、それでも今の世界が良いからみんな何もしないんだ」
今日も人に監視され、人のように生活し、人のマネをして生きる。
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蛇足:そういや昔サルヂエって本が流行ってましたね
蛇足の蛇足:猿の惑星一度も見たことないので見てみたい
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