戯言日記 その15 「日暮れの本屋」

戯言

 本屋でバイトをしている。

 この本屋は珍しく24時間営業で、自分は夜から朝にかけての夜シフトで入っている。

 やはり昼に比べて人は来ず、たまに駆け込んで教科書や参考書買うやつ、こっそりと成年本を買う人がほとんどだ。

 そんな感じで暇だけど仕事はある。

「これをくれ」

 いかついオッサンがカワイイ女の子が表紙の本をまとめ買いした。

「よろしくお願いします」

 礼儀正しい青年が解剖学や薬品の参考書、ミステリー物を買った。

「これ自分なんだよ」
「何してんだてめぇ」

 足のない中性的な人と黒い影を引き連れた高校生が俗っぽいオカルト雑誌を買っていった。

「これあの時のあんたっぽいわね」
「…………勘弁してください」

 仲のいいカップルが表紙に道化師の絵が描いてあるタイトルの読めない本を買っていった。

 他にもたくさんのお客が来たが、形容もできない客も多いので言葉にできない。

 そんな時間も朝になれば終わる。

 店の奥でずっとパソコンをカタカタしている不愛想な店長にあいさつをして、店を出る。

 そういえば店長以外のスタッフに出会ったことがないな、

 そんなことを考えながら足元の陰に沈んで帰った。

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 蛇足:小ネタ盛りだくさんの回です、分からなかった方はお聞きください。

 蛇足の蛇足:分かる人にだけ分かるネタを仕込むのめっちゃ好きです、1人で( *´艸`)してます。

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